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Essay 「理系の大学生活」

 大学の理系と文系では日々の生活が違うのかと、皆さん興味を持たれるところだと思います。私の感覚では大学 3 年生までは理系と文系で大学生活にほとんど違いはないです。もちろん理系は実験や実習があり、さらにその実験レポートの作成などで忙しいという人もいますが、文系でも授業の課題としてレポート作成がありますので、そのあたりの忙しさは変わらないでしょう。むしろ大学では、どういう授業をとるかについて、学生が自由に選択できます。そのため授業の忙しさや大学に行く頻度は、どういう授業をとっているかによって大きく変わります。たくさん授業をとっていたり、課題の多い授業をとっていると、毎日大学に行かないといけないですし忙しいですが、そうでない場合はそこまで忙しくはありません。ただしこれはあくまでも私の主観・経験上の話なので、大学や人によってこの辺りは異なるかもしれません。

 大学 3 年生までの生活は、「1. 授業、2. サークル、3. アルバイト」で構成されています。人によってこれらのバランスは異なりますが、ほとんどの大学生の日常はほぼこの 3 つの活動に分類できます。サークル活動の代わりに友人と遊ぶ、自宅でゲームをするなどのパターンもあります。私が大学生の時に所属していたサークルは、大学内の宿泊可能な部屋を借りていたので、ほぼ毎日この部屋で過ごしておりました。また居酒屋などでアルバイトをしていました。あと大学生の居場所として図書館も多いです(図書館は授業活動のカテゴリー)。大学の図書館は中学校・高校の図書室と異なり、建物が丸ごと図書館と非常に大きく、また勉強をするための机もたくさん並んでいます。私も試験前はよく図書館で勉強をしました。大学の図書館は 24 時間入れるところもあり、非常に充実しています。もしオープンキャンパスなどで大学に行くことがあったら、教室よりも図書館を見学したらいいと思います。教室のきれいさで学習意欲や内容、学生生活は変わりませんが、図書館の充実度で学生生活は大きく変わります。

 それはさておき、じゃあ学生生活において理系と文系の違いは何か?というと、それは大学 4 年生からの生活の違いになります。多くの大学で、理系学生は 4 年生から研究室という 10 名ほどのグループに所属し、研究活動を開始します。研究室では、教授の先生、助教の先生、そして大学院生がいます。この構成についてもう少し説明すると、教授は研究室の責任者で、研究室は教授の先生が目指す研究を行うグループです。そのため多くの場合、研究室は教授の先生の名前をとって、〇〇研究室というふうに呼ばれます。また助教は研究室における中間管理職の先生です。助教は教授と学生の間に立って、実験の指導や様々な実務を担当します。大学院生はすでにその研究室で数年研究を行っている先輩です。こうした方々以外にも、研究室によっては准教授の先生(教授の先生と助教の先生の間の先生)、秘書さん、ポスドクと呼ばれる研究傭兵部隊の人たちがいます。研究室の形・内容は本当に様々で、それこそ教授の先生によって異なります。そのため一般的に、大学の学部・学科の特徴・内容はそれぞれ固定されたものがありますが、研究室の特徴・内容は教授の先生によって異なり、その先生が退官したり他大学に異動すると、丸ごとその研究室・研究内容がその大学からなくなってしまいます。

 話を戻します。理系学生は 4 年生になると、全員どこかの研究室に所属して研究を開始します。それまでの生活は、「1. 授業、2. サークル、3. アルバイト」と言いましたが、4 年生になるとこれが一変し、ほとんどの学生が「1. 研究室」だけとなります。毎日大学に来ていく先は、授業でもサークル部屋でもなく、研究室です。研究室で過ごし、夜になったら研究室から家に帰るというようにほぼ研究室と自宅だけが生活の場所になります。研究室の規模は様々で、教授の先生と 2人だけという研究室もあれば、30 人以上の大所帯まであります。また研究室の考え方、雰囲気もそれぞれです。研究室で過ごす時間というのは理系ならではの特別なものであり、そこでの経験はその後の人生に大きく影響します。少なくとも私は、自分が育った研究室をお手本として今の研究室を運営していますし、研究室での活動・生活があったから大学で研究を続けられていると思います。文系でも教授のゼミというものがあり、ゼミ単位で様々な活動をするようなので、もしかしたら理系の研究室に似ている部分もあるのかもしれません。ただ理系の場合、研究室での生活は、最低1 年から長い場合は6年とかそれ以上同じ研究室にいる人もいます。

 大学における理系進路と文系進路の違いは、学ぶ内容が異なる、大学 4 年生からの生活が異なる、そして将来の職業や仕事の内容が異なるという部分になります。ぜひ、色々な観点から大学・学部を選ばれたらいいと思います。北九大にも、たまに特定の先生の研究室に入りたいと言って入学してくる学生がいます。研究室というのは理系の学生にとって大切な活動の場であり、成長の場であり、生活の場です。研究室をモチベーションとして大学に入学するのもいいかもしれませんね。  (K.)